モルモン教原理主義 [生活と意見]
TBSラジオ「ストリーム!」をPodcastというので聞く(http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/)。
Podcastで聞けるのはその番組の「コラムの花道」というコーナーだが、毎週火曜はカリフォルニア州オークランド在住の映画評論家、町山智浩さんが出る。それがめっぽう面白いのである。
いささか過激な言い方をすると、21世紀の世界ではアメリカでも日本でもマスメディアの多くが大本営発表の傾向を強めているので、だから日本にいて入ってくるアメリカの情報というのは二重に検閲を受けている。アメリカの権力にとって都合のいい部分だけが、アメリカと軍事同盟を結んでいる日本の現状を波立たせないようにして入ってくるわけだ。
そんななか、1997年からアメリカに住んでいる町山さんは、そこから生きたアメリカの姿を届けてくれている。
今回はモルモン教原理主義者のお話。
アメリカ合衆国で19世紀前半に生まれたモルモン教は、もともと一夫多妻制だったのだけれど、19世紀末にそれを止めた。ところがそれがいやだといって原理主義化したモルモン教徒がいて、21世紀のいまでも地下組織的に一夫多妻制をつづけているそうだ。もちろんいやがったのは男の人たちで、だから男性に都合のよいコミュニティがあちこちにあることになる。
その手口がすごい。
モルモン教原理主義者の家で育てられた娘たちは、12歳かそこらで無理矢理結婚させられる。たくさん妻のいるおじさんとかに。まだ自我にもちゃんと目覚めないような年齢であるが、モルモン教原理主義者のもとでは女性たちはテレビも新聞も本も見ることができない。男性による完全な情報統制で、だから人権という考え方も知らないし、男女平等という発想もない。もちろん男女のあいだに恋愛というものがあることも知らない。
女性は完全に男性のもちもので、最近その大きなコミュニティの一つのリーダーが捕まったという。彼は父親から妻を相続していたんだそうな。
罪状はレイプとか人権侵害になるんだろうな。
あるいは、こういうのはアメリカにおけるキリスト教の原理主義化と平仄をあわせているのかもしれない。ネットをうろうろしていたら、ブッシュが大統領になる20世紀末からモルモン教にそういう動きがあったという記述も見つかった。
おのれの庇護を必要とする女性たちが何人もいることで、だれよりも強いという男性としての幻想を保つことができる。モルモン教原理主義者のやり口は、マッチョの国としてのアメリカの暗部を象徴している。
当然のことながら、現在では一夫多妻を維持するためにはモルモン教原理主義者の娘だけでは足りない。なのでモルモン教原理主義者はふつうの家庭に押し入って、若い娘に銃をつきつけて妻になることを迫り、拒否されると撃ち殺すという事件を起こしている。
自分たちとは違うやり方をしている人々のなかに入っていって、「おのれの庇護を必要とする女性」になるか、撃ち殺されるかの選択を迫る。つまり「おのれの庇護を必要とする」というあり方以外は認めない。
これってイラクに対するブッシュ政権の手口とおなじじゃないか。
そうするとアメリカの「庇護を必要とする」ところから出発している敗戦後の日本は、男性によって情報統制されて真実を教えてもらえないモルモン教原理主義者の女性みたいなものだってことか?
なんでアメリカ産牛肉の輸入は再開されちまったんだ?
まああいい。
それにしてもアメリカという国は広い。
自分はモルモンの人間ですが、原理主義側の方々がどう動いたかは存じませんが、そっちじゃないほうのモルモンは19世紀以前も一夫多妻制はやってませんよ(^^)
それはいつだったか忘れたけど、どっかの州知事のカン違いでウワサが広まったんですよ。
by MIURA NOBUSI (2009-01-28 21:25)