2014年4月 [文芸時評]
毎日新聞2014年4月30日夕刊に、4月の文芸時評が掲載されました。
《二〇一二年に亡くなった吉本隆明の晩年の代表作『母型論』は、柳田国男が死の前年の一九六一年に刊行した『海上の道』とおなじ「日本人はどこから来たか」という問いに、自分なりの方法で答えようとしたものだとその意図を「序」で説明している。それらは「思想」として語られることの多い著作だが、そこで吉本は『海上の道』を「普遍文学」と呼び、自らもそのようなものを試みたと言っている。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・室井光広『柳田国男の話』(東海教育研究所)
・辻原登『寂しい丘で狩りをする』(講談社)
・村田沙耶香「殺人出産」(「群像」5月号)
・木村友祐「聖地Cs」(「新潮」5月号)
・藤谷治「黙過」(「文藝」春号)
の5作です。
《二〇一二年に亡くなった吉本隆明の晩年の代表作『母型論』は、柳田国男が死の前年の一九六一年に刊行した『海上の道』とおなじ「日本人はどこから来たか」という問いに、自分なりの方法で答えようとしたものだとその意図を「序」で説明している。それらは「思想」として語られることの多い著作だが、そこで吉本は『海上の道』を「普遍文学」と呼び、自らもそのようなものを試みたと言っている。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・室井光広『柳田国男の話』(東海教育研究所)
・辻原登『寂しい丘で狩りをする』(講談社)
・村田沙耶香「殺人出産」(「群像」5月号)
・木村友祐「聖地Cs」(「新潮」5月号)
・藤谷治「黙過」(「文藝」春号)
の5作です。
2014年3月 [文芸時評]
毎日新聞2014年3月25日夕刊に、3月の文芸時評が掲載されました。
《二〇〇六年に刊行した『辻』から数年おきに連作短篇(たんぺん)集を書き継いできた古井由吉が、最新作『鐘の渡り』(新潮社)を出している。政治の季節だった一九七〇年前後に、私小説的な作品を書く「内向の世代」のひとりとして出発し、すでに七十代も半ばを過ぎながら、その作品は日本語による現代文学として、より困難な場所に足を踏み入れているように見える。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・古井由吉『鐘の渡り』(新潮社)
・小林エリカ「マダム・キュリーと朝食を」(「すばる」4月号)
・四元康祐「カエルの聖母」(「文學界」4月号)
の3作です。
《二〇〇六年に刊行した『辻』から数年おきに連作短篇(たんぺん)集を書き継いできた古井由吉が、最新作『鐘の渡り』(新潮社)を出している。政治の季節だった一九七〇年前後に、私小説的な作品を書く「内向の世代」のひとりとして出発し、すでに七十代も半ばを過ぎながら、その作品は日本語による現代文学として、より困難な場所に足を踏み入れているように見える。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・古井由吉『鐘の渡り』(新潮社)
・小林エリカ「マダム・キュリーと朝食を」(「すばる」4月号)
・四元康祐「カエルの聖母」(「文學界」4月号)
の3作です。
2014年2月 [文芸時評]
毎日新聞2014年2月25日夕刊に、2月の文芸時評が掲載されました。
《ソチ冬季オリンピックが閉会した。吉田修一の長篇(へん)『怒り』上・下(中央公論新社)を読みながら、前回バンクーバーの女子フィギュアスケートでの浅田真央のフリー「鐘」を思い出した。なぜならそれは、競技でありながら不条理な世界にひとりで立ち向かうという意味をあたえられ、高い芸術性を感じさせる稀有(けう)な演技となっていたからである。そんな個人の力では変えられそうにない、世界の不条理さに対してどうしたらよいのかということを問いかけてくるのが、いわばその吉田の最新作である。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・吉田修一『怒り』上・下(中央公論新社)
・羽田圭介「メタモルフォシス」(「新潮」3月号)
・小池昌代「たまもの」(「群像」3月号)
・長嶋有「四十歳」(「文學界」3月号)
・荻野アンナ「海藻録」(同上)
の5作です。
《ソチ冬季オリンピックが閉会した。吉田修一の長篇(へん)『怒り』上・下(中央公論新社)を読みながら、前回バンクーバーの女子フィギュアスケートでの浅田真央のフリー「鐘」を思い出した。なぜならそれは、競技でありながら不条理な世界にひとりで立ち向かうという意味をあたえられ、高い芸術性を感じさせる稀有(けう)な演技となっていたからである。そんな個人の力では変えられそうにない、世界の不条理さに対してどうしたらよいのかということを問いかけてくるのが、いわばその吉田の最新作である。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・吉田修一『怒り』上・下(中央公論新社)
・羽田圭介「メタモルフォシス」(「新潮」3月号)
・小池昌代「たまもの」(「群像」3月号)
・長嶋有「四十歳」(「文學界」3月号)
・荻野アンナ「海藻録」(同上)
の5作です。
2014年1月 [文芸時評]
毎日新聞2014年1月28日夕刊に、1月の文芸時評が掲載されました。
《今月の作品について語ることは、二つの格別に読みごたえのある長篇(ちょうへん)について論じることである。それは一九七六年に「北帰行」でデビューした外岡秀俊が長い沈黙を破り中原清一郎という筆名で発表した「カノン」(『文藝』)と、掲載誌の『海燕』が終刊となって一九九六年に連載が中断したままだったものがついに完成された佐伯一麦の『渡良瀬』(岩波書店)である。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・中原清一郎「カノン」(「文藝」冬号)
・佐伯一麦『渡良瀬』(岩波書店)
・金石範「地の底から」(「すばる」2月号)
・津村記久子「地獄」(「文學界」2月号)
の4作です。
《今月の作品について語ることは、二つの格別に読みごたえのある長篇(ちょうへん)について論じることである。それは一九七六年に「北帰行」でデビューした外岡秀俊が長い沈黙を破り中原清一郎という筆名で発表した「カノン」(『文藝』)と、掲載誌の『海燕』が終刊となって一九九六年に連載が中断したままだったものがついに完成された佐伯一麦の『渡良瀬』(岩波書店)である。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・中原清一郎「カノン」(「文藝」冬号)
・佐伯一麦『渡良瀬』(岩波書店)
・金石範「地の底から」(「すばる」2月号)
・津村記久子「地獄」(「文學界」2月号)
の4作です。
2013年12月 [文芸時評]
毎日新聞2013年12月24日夕刊に、12月の文芸時評が掲載されました。
《文芸誌は新年号だが、一〇月に秋山駿、一一月には辻井喬が亡くなり、かつての文学がますます遠ざかりつつあることを感じさせる一年だった。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・河野多惠子「好き嫌い」(「新潮」1月号)
・戌井昭人「どろにやいと」(「群像」1月号)
・長嶋有『問いのない答え』(文藝春秋)
・津村節子『三陸の海』(講談社)
の4作です。
《文芸誌は新年号だが、一〇月に秋山駿、一一月には辻井喬が亡くなり、かつての文学がますます遠ざかりつつあることを感じさせる一年だった。……[全文は毎日新聞で]》
取り上げたのは、
・河野多惠子「好き嫌い」(「新潮」1月号)
・戌井昭人「どろにやいと」(「群像」1月号)
・長嶋有『問いのない答え』(文藝春秋)
・津村節子『三陸の海』(講談社)
の4作です。